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Interview

- 卒業生インタビュー -

水野 隆さん

コニカミノルタ株式会社 ヘルスケア事業本部


1)まずは、簡単なプロフィールを教えて下さい。

1997年3月に東北大学大学院 工学研究科 電気・通信工学専攻の博士前期課程を修了し、GE横河メディカルシステム株式会社 (現: GEヘルスケア・ジャパン)に入社。

その後コニカミノルタ株式会社に中途入社しました。

学生の頃に音響物理工学を学び、社会人になってからは、一貫して超音波診断装置に関わる技術開発・商品開発に携わっています。


2)なぜMOTを学ぼうと思われたのですか?また、その中でも農工大を選ばれた理由があれば教えてください。

私自身、これまで要素技術開発や商品設計を中心に仕事をしてきました。商品の根幹をなす技術に関わってはいましたが、事業全体を俯瞰して見ると、担っているのはほんの一部分にすぎず、決められたQCD(性能品質/コスト/提供時期)のなかでの活動でした。

そのようななか、5年ほど前に、社長室特命プロジェクトのメンバにアサインされ、「女性を取り巻く医療環境」を題材に事業提案を行う活動に参画する機会を得ました。部門を横断したメンバが集まり、顧客価値提供に至るストーリを真剣に議論し、これだ!という提案を上層部に幾度となく行ったのですが、結果として事業テーマ化を認めてはいただけませんでした。自身には判断する側の視点が不足していたのです。

また同じ頃、部門内のボトムアップ型イノベーション活動の委員も担当しており、個の活動を事業テーマ化するためのしくみにとても興味を持っていました。そこで、新規事業をどのように提案し、立ち上げていくか体系的に学んでみたいと思いました。

MBAではなく、MOTを選んだ理由は、自身が技術開発職であったため、技術シーズから事業に昇華させるベクトルの方が、私に合っているだろうと考えた点にあります。

MOTコースのなかでも東京農工大学を選んだ理由は、2つあります。

1つ目は、社会人学生を対象とした研究マネジメント人材育成プログラムにおいて、自身が事業化を目論んでいるテーマそのものを研究テーマとすることができる点です。

戦略企画、事業化計画、組織構築、知財マネジメントを講義で学びながら、ゼミを通して研究テーマを推進し、最終的に研究プロジェクト提案書としてまとめていう活動全てを、社内の事業化提案に活用することができます。将来デバイス化を目論み、技術シーズを温めていた自身にとって魅力的でした。

また、企業で技術開発と事業マネジメントの両方の経験がある実務家の先生から指導を受けられることも、ポイントでした。

2つ目は、通学利便性です。勤務先も自宅も多摩エリア(中央線沿線)にある私にとって、東京都心にある学校へ業務終了後に通学するのは困難なため、同じ多摩エリアにある東京農工大学は大変好立地でした。(ただ残念なことに、COVID-19パンデミックのため、入学早々しばらくオンライン講義になってしまったのですが。。。)

さらに加えて、国立大学であること、教育訓練給付金制度を利用して割安で学べることも理由にありました。


3)東京農工大学のMOTに入学され、当初の目標は達成できたと思いますか?

達成できた点は、プロジェクト研究を進めるなかで、新規事業を創造する際に、情報のピースをどのように組み合わせて、提案のキャンバスを完成させるか、さまざまなケーススタディを通して学ぶことができたことです。 在学中にプロジェクト研究で取り上げた事業化テーマですが、開発エンジニア、販売企画メンバ、さらに応援してくださる臨床医の先生方を巻き込み、現在も継続して活動しています。臨床医の先生方との実証検証は、診療のない土曜・日曜に行うことが多いのですが、在学中は講義やゼミとの調整が難しかったため、真の意味でのフィールドスタディは、MOT修了後に本格化させました。仮説設定したアプリケーションの実現には、実証検証で明らかになった課題の対策も必要で、研究テーマの事業化には、しばらく時間がかりそうです。


4)在学中のお仕事と学業の両立はどのように実現されたのでしょうか?

私が入学した2020年4月といえば、皆さん記憶に残っているかと思いますが新型コロナウイルスの緊急事態宣言ちょうど発出された時期に重なり、農工大に入学することを決めた1年前とは全く異なる世界になっていました。仕事も在宅勤務となり、対面授業もなくなり、オンラインでの授業となったことで、慣れない新しい環境でやりくりしていくことはとてもハードでした。一方で、農工大は早くからオンライン授業をうまく使っていた印象があり、平日夜の授業には大学へ移動することなく仕事後すぐにでも授業に参加できたため、以前の学生よりはスケジュール管理はしやすくなっていたのかもしれません。 また、授業は平日夜と土曜のみですが、各授業のレポートはもちろん、グループ発表に向けたミーティングもありますし、ゼミのプロジェクト研究の推進の職場では、要素開発・商品開発を担うグループでマネジャとして働いていたため、平日夜の講義は2科目程度とし、土曜日は登校してフルで講義を受講しました。

COVID-19の影響で平日夜はオンライン講義になりましたが、通学時間を気にせず出席できました。業務との両立は大変でしたが、講義の予習やレポート、自分の研究のための時間は、明確に時刻で区切って捻出するようにしました。

突発的な会社業務に備え、講義レポートは早めに着手し終わらせるように心がけました。

2020年4月に入学した私たちの代は、COVID-19影響で入学式は中止になり、在学時期は、学内外の行動がさまざま制限されてしまいました。講義後にちょっと飲みにいこう、という交流が出来なかったのは残念でした。ための各調査やCS (Case Study) / FS (Field Study)などの報告会の準備などやるべきことは山ほどあります。慣れるまではレポートの締め切りが間に合わなく学生時代以来の徹夜を何度かしてしまった点は、自分自身のタイムマネジメントができていなかったと反省していますが、途中からは多少は改善を図ることができ、そういった部分でも成長ができたのではないかと思います。 もちろん、このようなハードな環境でなんとか仕事と学業を両立して2年間やり切ることができたのは、職場の上司や同僚の理解、農工大の同級生、先輩後輩の協力と、何より家族のサポートのおかげだと考えております。


5)東京農工大MOTのカリキュラムはいかがでしたか?また、修了してよかったと感じている点はどんなところですか?

多くの講義によって、社会人になってからの仕事での経験について、整理ができたと思います。

一方、会計学や経営学等は、初めて学ぶ科目でした。講義は学部新卒学生と一緒に受けるのが、東京農工大学のMOTコースの特長ですが、自分の齢の半分くらいの年齢の若い学生と一緒に学ぶのは新鮮で、斬新なアイディアや考え方は大いに刺激になりました。

修了した今でも、先生、OB/OG、同期生、新入生との交流は、継続しています。拡がっていく人とのネットワークは大きな財産になっています。また、私が修了した翌年度に、会社で同じグループのメンバが、東京農工大学のMOTに入学し、同じ思いが繋がって大変嬉しく思います。


6)在学中、特に印象に残っている講義やイベントがあれば教えてください。

経営戦略の講義では、実在する企業の将来戦略をまとめグループ発表する時間がありました。

平日夜や土曜日の講義後にグループメンバが自習室に集まり、議論を重ねて戦略ストーリを作っていくのは、大変でしたが楽しい時間でした。

学部新卒学生にとっては、身近な社会人に映ったようで、グループ発表の準備そっちのけで、会社で働くことについて質問責めにあった日もありました(笑)。

また、グループ発表で事例とした企業の社員をゲストスピーカとしてお招きし、グループ発表に対して講評いただける機会もありました。考えてきた戦略案について、実際の社員の方とディスカッションでき、とても実践的だったと思います。


7)学生生活を通じて、ご自身に変化はありましたか?

現在は、先行開発を担うグループで働いていますが、ただ技術開発を進めるだけでなく、市場調査や事業化戦略に重きを置くようになりました。

Early Phaseだからこそ、シナリオ性の高いビジネスモデル・キャンバスが描けるかを常に意識して、グループメンバーと活動しています。


8)今後入学を検討している皆さんへひとことお願いします。

きっと、この記事を読まれているみなさんは、MOTに興味があり、新たな挑戦をしたい、と考えていらっしゃる方だと思います。

異業種・異分野、様々な年代の人との学び、同期生やOB/OGとのネットワークは、きっと財産になります。ぜひ一歩を踏み出してみることをお勧めします。

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